光
何も始まらないままに、長く険しい冬が訪れる。
春、夏、秋、冬。
繰り返しのなかですこしずつ死んでいく。
今は一筋の光が欲しい。
だから今日も洞窟堀りに精を出す。
外に通じる出口はきっと見つかると信じて、せっせと穴掘りを進める。
レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』にこんな一節がある。
To say goodbye is to die a little.
さよならを言うことは、少しだけ死ぬことだ。(村上春樹訳)
ちなみに村上春樹以前の訳はこうだ。
さよならを言うことは、少しのあいだ死ぬことだ。
a littleの部分をどう捉えたかであるが、大きく違う訳になっていることに気づくはずだ。