【review】「高学歴なのになぜ人とうまくいかないのか」(加藤俊徳、PHP新書)
「高学歴なのになぜ人とうまくいかないのか」(加藤俊徳、PHP新書)を読みました。
1万人以上のMRI画像を鑑定してきたという発達脳科学の専門家である著者が、高学歴の人の脳の特徴と陥穽について書いたものです。
「特定の『脳番地』ばかり鍛えるのは、極端な苦手分野を育てること 」
いわゆる天才と呼ばれる人たちの脳ってどこか偏ってるんだそうですね。たとえばピカソは、言語に弱い、というように。
いくつか引用を続けたいと思います。
いわゆる高学歴の人の脳は、二十代前半まではなんとか成長する。運動系と連動しない記憶、汗をともなわない記憶の蓄積が、脳の成長にブレーキをかけ始める。ここに、一生、ゆるやかでも右肩上がりに成長する秘訣があるかもしれない。
体を動かすことって大事なんですね。一日中座りっぱなしの日もけっこう続くような仕事なので、バランスを考えていきたいです。家に帰ってからも、土日も座りっぱなしというのはやっぱり心身によくないかもしれない…
脳は苦手なことを避けるが、それに挑み、自己修正をする脳こそがその先に進むことができるのである。
↑これはかなり抽象的な言い方(「その先」とはどこだ…)ですが、なにかしら心に迫るものがあります。
つまらない情報は受け付けたくないとばかりに情報の入り口を狭くすると、周りをこまらせる人になる
あぁこれ自分のことだ…と思いました。アンテナを広く張っていきたいところです。
本書のキーワードは、
「脱自動化」
…頭を使わずにこなしているルーティンを疑う
「清濁併せ呑む」
…好きなことだけやっていては脳は鍛えられない
かと思います。
自分ひとりで知識を吸収するインプットの時間を作れば、(他人と付き合う)コミュニケーションによって脳を伸ばす時間が少なくなり、コミュニケーションの時間をとれば今度は知識吸収の時間が…というようになかなか両立させがたいところではあるのですが、両者のバランスこそが大事だと著者は言います。
また、コミュニケーションが苦手な人は「役割を演じる」というのも改善の手立てだということです。
以上のようなことを踏まえて、「頭のいい人」について次のように言及されていました。
ほんとうの意味で頭がいい人というのは、知識をたくさんもつ必要はない。それに対応できる人のことを言うべきだからである。ほんとうの頭のよさとは、柔軟性にほかならないのだ。脳の柔軟性とは理解力にあらわれる。
なお、「理解力とは物事をさまざまな角度から観察し、情報を統合する力だ」としています。
「理解したいと思う気持ち」と「主張したいと思う気持ち」
ともすれば後者が前者を圧倒してしまうわけですが、これをイーブンに、いや、イーブンにしようと思ったところで、畢竟、後者が強くなってしまうのでやはり前者を意識してコミュニケーションをとることに尽きるのではないかと思います。
一昨日読んだ「おもしろい人の会話の公式」のなかでも
ウケる(受ける)人は、受け入れることのできる人だ
とありました。
特別なことを言う必要はない。
場と人を受け入れられることこそがコミュニケーションの本質ではないかと思います。
「おもしろい人」の会話の公式 気のきいた一言がパッと出てくる!
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